2023年11月27日に開催された参議院の予算委員会質疑にて、立憲民主党の辻元清美議員と自由民主党の岸田文雄 内閣総理大臣の防衛費予算・大阪万博に関する補正予算の議論を要約してお届けします。
議論サマリー
辻元 清美(立憲民主党)
今日の日経新聞、【減税「説明が不適切」81%】。なぜだと思うか?
辻元 清美(立憲民主党)
理由が分からないのか?総理は「増税メガネ」の上に「減税メガネ」をかけて、国民の望むことが見えなくなってるのでは?
岸田 文雄(自由民主党)
国民の皆さんの声は謙虚に受け止める。その上で、30年来のデフレ脱却に向けて今が正念場にあり、どういった政策が必要か。取りまとめた経済政策が未来にどう繋がるかを説明することが国民の皆さんの理解につながると信じている
辻元 清美(立憲民主党)
答弁全部が抽象的。3年前に給付金を給付した時、政府の答弁は「所得税減税と給付を組み合わせるとより複雑な制度になり、時間もかかる。給付金で対応する方が合理的」。こればかり繰り返していたのを覚えているか?
岸田 文雄(自由民主党)
当時はコロナとの戦いで緊急性を要し、国民の生活を守らなければいけない。その経済政策を論じた際の意見。今は局面が変わり、デフレ脱却の正念場を迎え、未来に向けて日本の経済をしっかり見通す際の政策とは当然違いがある
辻元 清美(立憲民主党)
全部抽象的。(所得税減税と給付の組み合わせは)事務的な手間、複雑な制度が合理的じゃないと言っていた。それが3年たったら合理的になるのか?どう変わったのか?
岸田 文雄(自由民主党)
3年前の置かれている状況、政策課題とは違うということ。今度の経済対策の最も大きな柱は賃上げの原資である企業の稼ぐ力、供給力の強化。来年は賃上げがまだ道半ばであるため、可処分所得を下支えする官民の協力が必要
辻元 清美(立憲民主党)
全く説明になっていない。減税の後には大増税が待っている。みんな分かっている。昨年、防衛費倍増の 43兆円を決めた。1ドル レートいくらで試算したか?
木原 稔(自由民主党)
当時の直近レートであった1ドル 108円を用いた。その後、令和5年度予算案の作成には令和5年度の1ドル 137円を用いた
辻元 清美(立憲民主党)
(防衛力強化予算の)43兆円は108円で試算されている。総理、43兆をはるかに突破してるのではないか?
岸田 文雄(自由民主党)
防衛力強化の財源は令和9年度に向けて税額を積み上げていく、その際に賃上げに十分配慮してタイミングを考える。所得税に関しては家計の負担は増えない。法人税についても94%の法人は対象外。後で大増税が待っているという指摘は当たらない
辻元 清美(立憲民主党)
108円で計算している、43兆円を。今日のレートは大体150円。誰が見ても突破するのではないか?
岸田 文雄(自由民主党)
為替は様々な要素で変化し、今後も変化する中で現実的に必要な防衛力を強化する。こういった基本方針を政府として決定したわけで、その範囲内で効果的・具体的な装備を用意していく。政府の責任でこれから進めていく
辻元 清美(立憲民主党)
補正予算も 249億円、今回円安で追加になっている。どうやって減らす?43兆にどうやってキープできる?
岸田 文雄(自由民主党)
43兆円という数字は閣議決定した数字。この数字をもとに防衛力を強化していく。為替の動向も見ながら、効率化や様々な財源の活用を行うなど工夫を続け、結果として国民の安心安全につながる装備を用意していく
辻元 清美(立憲民主党)
さらなる効率化と言うが、最初からやってないのか?さらにムダがあったということを白状したことになるのでは?
岸田 文雄(自由民主党)
防衛力の財源は様々な効率化努力を行い、歳出改革で 3/4 を確保すると言っている。残り 1/4 は国民の皆さんの協力をお願いする。その上で、為替の動向もしっかり見ながら、この装備の調達等において効率化等の努力を続けていくことが大事
辻元 清美(立憲民主党)
防衛装備品はどんどん(価格が)上がっている。例えば大型輸送ヘリ「チヌーク」は単価 76億円だったのが、140億円の増加で 216億円と「3倍」になっている。総理、これどうやって 43兆に収められるのか?
岸田 文雄(自由民主党)
装備品の価格は様々な事情がある。しかし全体として抑止力・対処力を強化するのが大きな目標。43兆円という閣議決定された数字をもとに、複雑な厳しい安全保障環境の中で合理化・効率化をしっかり果たしていく
辻元 清美(立憲民主党)
今のチヌーク1つの例でも、これは単価 1/3になるのか?ならない。イージス搭載艦は 2,000億円も価格が上がっている。買う装備品の数を減らすのか?
岸田 文雄(自由民主党)
調達の方法等で様々な工夫が考えられる。まとめ買いなど様々な工夫をこらしながら、実質的な抑止力・対処力の維持を図っていきたい。
辻元 清美(立憲民主党)
2倍の値段になってるとか3倍になってるとか。買う装備品を減らすか、全部買いたいなら大増税するか、どちらかしかないのではないか?
木原 稔(自由民主党)
他にも多数の装備品を調達予定。防衛関係費の財源を出すためには、防衛省が経費の精査や装備品の効率的な取得を一層推進していくことが極めて重要。装備品の計画的・安定的、効率的な取得に務めて、調達等の最適化にしっかり取り組んでいく
辻元 清美(立憲民主党)
調達の効率化で吸収できるようなものではない。だから「大増税しかない」と言ってる。
もう1つ、お金の問題。万博。会場建設費 2,350億円の中に日本パビリオン建設費も含まれてると思っていたが、また別にお金が要るのか?
もう1つ、お金の問題。万博。会場建設費 2,350億円の中に日本パビリオン建設費も含まれてると思っていたが、また別にお金が要るのか?
西村 康稔(自由民主党)
日本館に 92億円を計上しており、今回の補正予算でさらに 171億円計上している。加えて今後、仕上げのための費用と実際の運営費用、それから解体費用が必要となり、プラスアルファいくらかが必要になる
辻元 清美(立憲民主党)
私も概算で調べたが、全部足したら 308億円かかる。総理、現状で日本パビリオンに 308億もかかっていることをご存知だったか?
岸田 文雄(自由民主党)
具体的な数字は詳細までは承知していないが、先ほどのような数字であるということは政府として認識をしている
辻元 清美(立憲民主党)
この日本パビリオンのウリは何か?
西村 康稔(自由民主党)
日本は古来から循環型の経済を作ってきた。例えば生ゴミもリサイクルをしてエネルギーとして利用したり、微生物で発酵の技術もある。着物も何代にも渡って使える。こういった循環型の日本文化も紹介しながら最新の技術を紹介していきたい
辻元 清美(立憲民主党)
弱い。大屋根リングで 350億円、日本館で既に 308億円。これ総理、日本政府の決断でできるのだから、今みたいなウリなのであればもっと簡素化すべきではないか?
岸田 文雄(自由民主党)
日本館については財源・予算についても国としてしっかり責任を持って管理するが、あわせて内容の充実と予算の合理化等の努力は担当大臣中心に進めていく。3階建てのものを2階建てにするとか、既にかなり合理化は行っている
辻元 清美(立憲民主党)
リング350億円、日本館360億円。何なのかこれは。会場建設費 2,350億円以外に、いま分かってるもので何にいくら合計かかるのか?
自見 はなこ(自由民主党)
会場建設費以外で、大きく4つある。1つが日本館の建設。2つ目が途上国の出展支援のための費用 約 240億。3つ目が会場内の安全確保に万全を期するための費用 199億。4つ目が全国的な気運醸成 38億円。今後も必要な金額を精査の上で順次具現化していく
辻元 清美(立憲民主党)
日本館で 360億、気運醸成も足すと 839億円と、今日になって増えている。総理、いま分かってるものだけでも既に倍増している。それは認めるか?
西村 康稔(自由民主党)
日本館は愛知万博の時は246億円。今回も同等のものを考えているが、その時から建設の物価は 1.6倍、消費税は5%から10%になり本来 400億円を超える。それを 360億円に抑える。日本館で使うCLT(木材)も一定部分は売却予定で国庫に納付する
辻元 清美(立憲民主党)
もう一度総理に聞く。政府の負担分 2,350億円の 1/3で 783億円。これ以外に、いま判明したものだけでもさらに 839億かかる。もう倍増以上になっているということを認めるか?
岸田 文雄(自由民主党)
会場建設費以外に国費として負担がある、これはその通り。西村大臣、自見大臣を中心に合理化努力を続けていかなければならない
辻元 清美(立憲民主党)
(総理は)250億円以外にもうかからないような発言をしていた。しかし倍増になっている。国民に実態をごまかすために、そこの部分しか言ってなかったのでは?
岸田 文雄(自由民主党)
会場建設費にはこれ以上の増額は認めるつもりはない、と申し上げた。それ以外の国費分は、引き続き合理化努力を続けなければならない
辻元 清美(立憲民主党)
ごまかす意図がないというのなら、万博の総経費が一体いくらなのか?まとめて出してほしい
岸田 文雄(自由民主党)
万博の準備に向け、国民の皆さんの理解を得るためにも、様々な経費をできるだけ透明性を持って説明することは重要だと思う。できるだけ分かりやすく全体像を示せるよう努力する
映像ソース
参議院の予算委員会質疑(2023年11月27日)登壇者の紹介