2023年6月5日に開催された参議院の特別委員会(地方創生及びデジタル社会の形成等に関する)にて、立憲民主党の杉尾 秀哉議員と自由民主党の河野 太郎デジタル大臣のマイナンバー制度に関する議論を要約してお届けします。
議論サマリー
杉尾 秀哉(立憲民主党)
先週マイナンバー法が成立したが、マイナ保険証の廃止について危惧する声は非常に多い。朝日新聞のスクープで、マイナンバーと紐付ける公金受取口座に本人ではない、家族などの名義の口座が多数登録されていたとあった。今現在でどれぐらいの件数か?
杉尾 秀哉(立憲民主党)
全然目処が示されていない。この体でいくと、家族以外の口座、全く赤の他人の口座も登録できるということにならないか?
河野 太郎(自由民主党)
紐付けできるかといえばできるが、本人以外の口座を登録するときにはイレギュラーな操作をしなければできない。おそらく、お子さんの口座をご両親に紐付けする、あるいはご夫妻の間でどちらかに紐付けをするというようなことが行われたんだろうと思う
杉尾 秀哉(立憲民主党)
いま大臣は「だろう」と仰ったが、類推推測でしかない。マイナポータルで特殊な手順をすればできるというご説明だが、なぜ赤の他人の口座でも登録できるシステムになっているのか?
政府参考人
機械的に他人を落としてしまおうとすると、例えば結婚で姓が変わった方であったり、外国人であったり、様々な方が自動的に弾かれてしまうという問題がある。そのため、そういった特別な制御はしないという仕様にしている
杉尾 秀哉(立憲民主党)
全く赤の他人の口座を登録できるということになると、悪用や犯罪も誘発しかねない。なぜ国会審議の過程でこの問題があることを言わなかったのか?
河野 太郎(自由民主党)
家族が同一口座に紐付けをするというのは、誤登録でもシステムエラーでもない。ご本人が意図してされたわけなので、これはご本人に補正をお願いしていく
杉尾 秀哉(立憲民主党)
極めて不誠実。こうした問題がずっと続いている。国がカード取得率上昇のために性急に普及策を進め、それが原因で自治体の現場で無理がたたってミスが出ている。無理をさせた張本人は河野大臣ではないか?
河野 太郎(自由民主党)
マイナンバーカードを広く普及することは自治体の行政の効率化に繋がる。日本の行政のデジタル化はやはり待ったなしでやっていかなければいけないし、多くの首長の方々もそのように考えてくださっていると理解している
杉尾 秀哉(立憲民主党)
違う。私は首長とも話しているが、マイナカードの交付率アップで尻を叩かれ現場は疲弊してきた。土日出勤、窓口は長時間待ち、トラブルは起きるべくして起きた。マイナポイントを誤って付与した自治体が、受け取れなくなった人に賠償するケースも出た。これは国の責任では?
政府参考人
総務省としては、地方自治体の支援のもと、本人が将来受け取るべきマイナポイントが別人に付与されてしまう事案が発生して申し込めなくなった方々については、速やかに申込可能となりポイントを取得いただけるよう取り組んでいく
杉尾 秀哉(立憲民主党)
これだけトラブルが続いたら、例えば金融機関なら間違いなく金融庁が入り、行政処分が出される。去年9月の段階で総務省・デジタル庁の担当者は把握していたのに、大臣には今年5月まで報告されなかった。河野大臣はこれについて怒らなかったのか?
河野 太郎(自由民主党)
デジタル庁は霞ヶ関の他省庁と違って碁盤の目のような組織になっており、情報がタコつぼになっていたのは否めない。どのレベルで意思決定をするか、情報共有の体制を修正するための会議体などを今積み上げている
杉尾 秀哉(立憲民主党)
最後にもう一つ伺いたい。2026年中を目途に新しいマイナンバーカードの導入を目指すという報道があった。デジタル庁、これは事実か?
河野 太郎(自由民主党)
マイナンバーカードの有効期限が10年なので、2016年に取得した方が26年に新しいカードに切り替えるということ。カードのICチップに入れている電子証明書の暗号を強化した新たなカードに切り替えて更新していきたい
杉尾 秀哉(立憲民主党)
その新しいカードを導入する目的は?
河野 太郎(自由民主党)
いま申し上げたが、やはり暗号の強度を上げていかないといけない。券面に入れる情報も、海外でも使えるよう英文を記載するか、あるいは性別の記載をどうするかなど、様々な課題がある。まずはしっかり検討し、カード更新の際には新しいカードを交付していきたい
杉尾 秀哉(立憲民主党)
現状でも「セキュリティは万全だ」という説明を我々は受けていたが、その説明だと矛盾するのでは?旧カードを持ってた人は新カードになった時に全員切り替えるのか?健康保険証の廃止も極めて大きい問題。法案は成立したが、引き続き取り上げていくことを約束し質問を終わる
映像ソース
参議院の特別委員会(地方創生及びデジタル社会の形成等に関する)(2023年6月5日)登壇者の紹介