2024年2月6日に開催された衆議院の予算委員会質疑にて、立憲民主党の早稲田ゆき議員と自由民主党の岸田文雄 内閣総理大臣の、少子化対策の財源として導入する「支援金」制度に関する議論を要約してお届けします。
議論サマリー
早稲田 ゆき(立憲民主党)
政府が試算していると報道されている「(少子化対策の財源として導入する)支援金 1人月額500円」。実際に政府はそのように試算し、見込んだということで間違いないか?
岸田 文雄(自由民主党)
早稲田 ゆき(立憲民主党)
500円というが、年額では 6,000円。世帯で言えば、共働きなら1万2,000円程度になる。市町村の国民健康保険では 8,952円という数字が出ているが、あくまで500円は最低ラインで、それよりも国民負担は上がるということでよいか?
岸田 文雄(自由民主党)
おっしゃるように、個々人の拠出額は加入する医療保険や所得によって異なる。逆に、2026年度から段階的に導入することになっているので、2026年度の拠出はより低くなることも想定される。これらも含めて法案の成案化を進め、金額を精査する
早稲田 ゆき(立憲民主党)
いかにも「安いところで始めます」みたいな話だが、最後は結局この数字になっていく。事業主負担があるから良いということでは全くない
岸田 文雄(自由民主党)
事業主の負担があるのはその通りだが、少なくとも政府としては、加入者1人当たりの拠出額は500円弱であると申し上げている
早稲田 ゆき(立憲民主党)
全然違う。それは総人口で割った場合で、そこから組合や組合の種類、所得によってもどんどん上がっていく。これをしっかり言わないのが不誠実。それから、高齢者の負担はあるか? 例えば75歳以上の方、100歳の方はどうか?
岸田 文雄(自由民主党)
高齢者も後期高齢者医療制度などを通じて拠出いただく想定。ただ、各医療保険間の支援金の按分については、いま法案提出に向けて最終調整している。いずれにせよ、歳出改革と賃上げによって実質的な負担は全体として生じない
早稲田 ゆき(立憲民主党)
いいえ、社会保険料が上がれば(負担は)上がる。国民に負担をお願いするならきちんと説明してからやれば良いのに、取れるところから取るという発想が良くない。それから、子育て世帯の負担割合はどのぐらいなのか?
加藤 鮎子(自由民主党)
子育て世帯はまず、今回の子ども子育て政策の抜本的強化によって大きな給付を受ける。実際の拠出額は世帯の状況によって異なるため、割合を算出することは難しい
早稲田 ゆき(立憲民主党)
子育て世帯、現役世代は実質賃金が20ヶ月以上下がり続けている。高齢者の年金もそうで、物価高に追いついていない。実質の国民負担ゼロどころか、事実上の「子育て増税」だ。医療保険に上乗せする支援金1兆円は保険料か? それとも税か?
岸田 文雄(自由民主党)
社会保険制度はともに支え合う仕組み。支援金も、こうした連帯によって将来を担う子供たちや子育て世帯を全世代、全経済主体で支える仕組みなので、「保険料」として整理されると考えている
早稲田 ゆき(立憲民主党)
保険料は本来、例えば怪我や病気で働けない間の生活を支える制度。それにこの子育て支援金を乗せると制度の持続可能性が危うくなる。国民負担の中身、子育て世帯、高齢者世帯、所得別での負担の目安はいつまでに出せるか?
岸田 文雄(自由民主党)
まずは粗い計算として、500円弱という月額を申し上げた。その上で、少なくともこの法案審議に間に合うように具体的な制度設計を進めていきたい
早稲田 ゆき(立憲民主党)
それはおかしい。予算の質疑なのだから、それも踏まえて議論しないと深まらない。そして、来週15日には閣議決定がある。ぜひ今週中に、大枠で良いので大まかな試算を出してもらえないか?
岸田 文雄(自由民主党)
いま精査を進めている。法案審議に間に合うかたちで具体的な制度を示したいと考えている
早稲田 ゆき(立憲民主党)
閣議決定が来週なのに、「いま精査中だから知らない」は大変不誠実。自民党議員の皆さんは裏金を懐に入れ、領収書も添付しない形で使い、追徴課税もなしで国民は怒っている。増税なのだから、負担率が増えないという言葉は撤回していただきたい
岸田 文雄(自由民主党)
賃上げと歳出改革によって社会保険負担を軽減させ、その範囲内で支援金を用意する。実質の負担は全体として生じないと再三申し上げている。実質的な増税という指摘は当たらない
早稲田 ゆき(立憲民主党)
社会保険料に上乗せするのだから1人当たりの負担感は必ず増える。総理は結局、国民が頑張ってちょっと収入が高くなるとこうしてどんどん減らしていく。子育て増税、扶養控除縮小をしないよう強く申し上げ、子育て罰にならないよう政策を前に進めていただくことを強く要望して質問を終わる
映像ソース
衆議院の予算委員会質疑(2024年2月5日)登壇者の紹介