2023/03/08

【発言録 要約】日本共産党(山添 拓)VS 自民党(岸田 文雄)2023/3/6





2023年3月6日に開催された参議院の予算委員会質疑にて、日本共産党の山添 拓議員と自由民主党の岸田 文雄 内閣総理大臣の議論(敵基地攻撃能力、反撃能力の保有)を要約してお届けします。



議論サマリー
山添 拓(日本共産党)
岸田政権が表明した敵基地攻撃能力・反撃能力の保有について。過去の政府見解の通り、「他国の領域に対して直接脅威を与える兵器の保有は禁止される」。これが憲法上の制約であるということで間違いないか?
岸田 文雄(自由民主党)
自衛力は自衛のための必要最小限であるべき。ただし、具体的な最小限の「限度」は国際情勢や科学技術等の諸条件によって左右される相対的な面もある
山添 拓(日本共産党)
いろいろ限定をつけようとされるが、相対的ではなく絶対的に禁止だ。安保三文書で政府が導入するというスタンドオフミサイルは、沖縄を起点とした場合にアジア全域が射程に入る。これは他国の領域に対する直接的な脅威では?
岸田 文雄(自由民主党)
禁止される攻撃的兵器は、例えばICBM、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母など。スタンドオフミサイルは相手の艦艇や上陸部隊等への対処を目的としたもので、憲法や専守防衛の基本方針のもとで許容される最小限度の範囲内である
山添 拓(日本共産党)
「自衛のために使う」という意思さえあれば良いのか?総理は先日、「問題はどう運用するかだ」と答弁した。軍事費を倍増し、敵基地攻撃能力の保有を進めれば、自衛隊は攻撃型の部隊に変わっていくのでは?
岸田 文雄(自由民主党)
今回保有を決定した反撃能力は、憲法・国際法・国内法の範囲内で運用される。専守防衛の考え方を変更するものではなく、武力行使の三要件を満たして初めて行使されるもの。これまでの憲法解釈を変更するものではない
山添 拓(日本共産党)
兵器をひとたび保有すれば運用は権力者次第でいかようにも変わりうる。武力行使の3要件目「必要最小限度の実力行使」について。わが国と密接な関係にある他国への武力攻撃を排除するとあるが、これは「同盟国アメリカが勝利するまで共に戦う」という意味か?
岸田 文雄(自由民主党)
わが国の国民の生命や自由、幸福追求の権利が覆される明白な危険に対して対処するということ。アメリカが勝利するまで戦うとは全く言っていない。必要最小限度の範囲は、個別具体的な状況に即して客観的・合理的に判断する
山添 拓(日本共産党)
それは「やってみなければわからない」「何の歯止めもない」と言ってるのに等しい。総理は外務大臣時代、「敵基地攻撃能力をわが国は保持していないので、武力行使は想定しない」という答弁をした。今後はその能力を持つので、想定しないわけにいかないのでは?
岸田 文雄(自由民主党)
その発言は正確に記憶していないが、「大規模に敵地に攻め込むようなことは考えていない」という答弁であったと思う。それは今もその通りで、反撃能力はあくまで従来のミサイル防衛と併用することで抑止力・対処力を高めるためのもの
山添 拓(日本共産党)
どういう場面で使うことになるのかを政府見解として聞いている。「使わない」と言い張るだけで全く歯止めになっていない。例えば長射程ミサイルの発射や、その攻撃を続けることが必要最小限度かは誰がどう判断するのか?
岸田 文雄(自由民主党)
生じた事態に応じて現場を含め、政府として判断する。加えて、武力行使については国会も絡めて説明責任をしっかり果たしていく
山添 拓(日本共産党)
1月の『日米2プラス2共同声明』では、統合防空ミサイル防衛(IAMD)を挙げて「日本の反撃能力の効果的な運用に向けて日米間の協力を深化させる」ことが決定された。この IAMDで日米のセンサーやミサイルを統合し、米軍主導で運用を進めていくのか?
浜田 靖一 防衛大臣(自由民主党)
情報収集や分析、日米間のさまざまな調整を念頭に置いたもの。「統合ミサイル防衛能力」は日本の主体的な取り組みであり、米国の要求によるものでも、米国の IAMDとも違う
山添 拓(日本共産党)
米軍はそうは言っていない。米軍の資料によると、「 IAMD能力を米国単独で高めるのは不可能。同盟国や友好国とセンサーや迎撃ミサイルを相乗的に活用すべき」との記載がある。日米一体の運用になることは必然だと思うが?
浜田 靖一 防衛大臣(自由民主党)
作戦のさまざまな場面で日米が協力していくのは当然。自衛隊と米軍はそれぞれ独立した指揮系統に従う。あくまで、運用に関わる意思決定は自衛隊が行う
山添 拓(日本共産党)
米軍の IAMDビジョンは「攻撃は最大の防御」。先制攻撃を含む構想に自衛隊を組み込むことは絶対に許されない。米国は各国に向けて兵器の売りさばきを行っており、日本は購入国の上位に毎年入っている。これはなぜか?
岸田 文雄(自由民主党)
イージスシステムや F35戦闘機など、防衛力強化に必要な装備品は FMS(アメリカによる有償の安全保障援助)でしか調達できない。価格は交渉・調整して抑制しており、適正な価格で調達できるよう努力している
山添 拓(日本共産党)
台湾有事のシミュレーションを発表して話題になった米国のシンクタンク(CSIS)には、世界トップ5の軍需産業が巨額の出資をしている。こうした企業の利益のために有事の不安を煽り、異次元の大軍拡に突き進むことはあってはならない
岸田 文雄(自由民主党)
他国のシンクタンクのあり方や提言についてはコメントを差し控える。いずれにせよ、わが国として国益を最大限重視しながら対応を考えていく
山添 拓(日本共産党)
CSISには日本の外務省も毎年数千万円を拠出している。いま日本政府が行うべきは、軍事に軍事で対抗するシミュレーションでなく、戦争を起こさせない平和外交の努力だと申し上げ質問を終わる




映像ソース
参議院の予算委員会質疑(2023年3月6日)
登壇者の紹介