2023/03/02

【発言録 要約】立憲民主党(辻元 清美)VS 自民党(岸田 文雄)2023/3/1





2023年3月1日に開催された参議院の予算委員会質疑にて、立憲民主党の辻元 清美議員と自由民主党の岸田 文雄 内閣総理大臣の議論(原発稼働期間、防衛費増額について)を要約してお届けします。



議論サマリー
辻元 清美(立憲民主党)
原発の運転期間について。一定の条件によって「40年・60年」を超えて延長できるという点は、国民にも心配の声が多い。総理、なぜ延長したいと考えているのか?
岸田 文雄(自由民主党)
世界のエネルギー危機に直面している中、安定供給に向けてあらゆる選択肢を確保しておく必要がある。その上で、原発の利用にあたっては、審査で安全性が確認されたものでなければ運転できない仕組みとすることが大前提
辻元 清美(立憲民主党)
審査で止まってる期間を上乗せできる、これが分からない。原子力規制委員長が言った通り、止めてても劣化はする。「止まっていた分、プラスおまけで動かせます」という基準は非科学的ではないか?
岸田 文雄(自由民主党)
止めていた期間に応じて付け加えるというもの。いずれにしても、運転開始後30年を超えて運転するとき、50年を超えない期間ごとにその都度、基準適合性を審査するという規制委員会の新制度によって、安全規制はより厳格なものになると考える
辻元 清美(立憲民主党)
リスクがたくさんあって、安全審査が長引くほどその分プラスされる。その原発が長く運転できるという制度になっている。国民は心配になる。誰のためにこんなおかしなことをやるのか?
西村 康稔 経済産業大臣(自由民主党)
審査を延ばせば長く運転できると考える事業者はいない。安全規制をしっかりと認めてもらって早く動かしたいと思っている。まだ古いもので48年なので、60年を超えるのは10年以上先。将来の予見性を持つことで事業者の投資も進めたい
辻元 清美(立憲民主党)
事業者が延ばしたいと言ってるからでなく、リスクがあるから安全審査が延びる。なぜ止まってる期間を運転期限の上限にプラスできるのか、合理的な説明をしてほしい
西村 康稔 経済産業大臣(自由民主党)
世界を見ても、合理的・科学的な理由で40年60年と決まっているものはない。イギリスやフランスは運転期間の定めが無いし、アメリカには80年まで認められているものもある。わが国は世界で最も厳しい基準を設け、それに適合しないと運転できない
辻元 清美(立憲民主党)
納得できない。合理的な説明をしてくれと言っている。説明できないことをするなと。
1月に高浜4号機の原子炉が緊急停止し、制御棒が落ちた事故があった。60年に延長するために関電が点検、「4200ヶ所問題ない」と言った2ヶ月後に。総理はご存じか?
岸田 文雄(自由民主党)
秘書官を通じて聞いている
辻元 清美(立憲民主党)
昨年もこの高浜原発では、経年による原子炉内の錆(さび)でトラブルが発生している。毎年トラブルを起こしているのに、それを60年に延ばして、さらにそれ以上延ばすというのは、どう考えても非現実的だと思わないか?
岸田 文雄(自由民主党)
規制委員会において決定された新たな高経年化規制では、従来より高い頻度で厳正に審査することになっている。これをクリアしない限り原発は運転できないよう、安全性を確保している
辻元 清美(立憲民主党)
錆さえ見抜けなかったのにか?美浜原発3号炉も、かつて5名の人命が失われた大事故を起こした。東海第2原発も先週、非常用電源が停止した。いずれも設置申請書には寿命40年と書いてある。(北海道の)泊原発を建てる時、原発の寿命について住民に聞かれたと思うが、どう説明したのか?
西村 康稔 経済産業大臣(自由民主党)
泊1号機の設置に係るヒアリングでは、「設計・建設段階で運転期間の上限は決めていない」と説明している。だが、原子力発電所の寿命は、設計の上では大体30~40年くらいと報告書に記載がある
辻元 清美(立憲民主党)
私は文句を言ってるわけではない。24年前、私が国会で質問した際、寿命30~40年に、+20年までと合意した。そこに合理的な理由なく「止まってるところにプラスします」とは、裏口入学のようなものだ。今なら引き返せる。40年・60年で決断してほしい
岸田 文雄(自由民主党)
耐用年数40年とは設計上の評価であり、原子炉の寿命そのものではない。原発に様々な問題があったからこそ、頻度を高めて厳格な審査を入れようと言っている。安全性の確認、これが大前提
辻元 清美(立憲民主党)
次に防衛費にいく。財務大臣、相当ギリギリまで頑張って財源集めをしたと。もう絞りに絞ったと。4分の3をかき集めたと。もうこれ以上は本当に出ないのか?
鈴木 俊一 財務大臣(自由民主党)
結論から申し上げて、ギリギリまでかき集めた。行政の無駄や非効率を排した徹底した歳出改革、コロナ対策積立て金の返納、決算剰余金など、捻出した。それでも足りない約4分の1については、税でのご協力をお願いせざるを得ない
辻元 清美(立憲民主党)
雑巾は絞りに絞って一滴も出ないと。本当にそうなのか?他の予算には手をつけない上でギリギリ絞ったと?
鈴木 俊一 財務大臣(自由民主党)
例えば教育費とか、科学技術費といったものへの手当ては、それぞれ査定した上で必要なものとして(例年同額で)確保した。防衛力整備に向けた財源確保については、極めて異例な措置も含めてギリギリ確保した
辻元 清美(立憲民主党)
総理は6月に子ども子育てのプランを出し、財源を示すと言っていたが、財務大臣は今「絞りに絞って、もう1円たりとも出ない」と言っている。この子ども子育ての予算をどこから出すのか?6月になったらどこかから降ってくるのか
岸田 文雄(自由民主党)
子ども子育て予算については、いま現在、必要な政策内容を具体化、整理をしている。内容を踏まえて予算を考え、予算倍増に向けての大枠を示す。どこから出すのかについては、様々な工夫をしていきたいと考えている
辻元 清美(立憲民主党)
今ある教育費などから付け替えるのではなく、別枠で確保すると。それは増税の可能性もあるということか?増税はないと断言してほしい
岸田 文雄(自由民主党)
財源について具体的に申し上げる段階ではない。子ども教育国債を発行するかどうかも含め、内容が決まらないのに予算について具体的に申し上げることは、今の段階では控える
辻元 清美(立憲民主党)
防衛費も、はたしてムダが無いのか?例えば「グローバルホーク」という無人偵察機。アメリカと契約した時点から、買った時には94億円値上げされて613億円かかった。その後、2951億円の維持費もかかっている。総理、こういう実態をご存知か?
岸田 文雄(自由民主党)
購入にあたって、為替など様々な変動要因はある。そしてその後の維持費も、それなりの負担がかかるのは承知している
辻元 清美(立憲民主党)
ドイツは購入をキャンセルしている。日本は値上げをされた上、アメリカで退役予定の古い機種をつかまされ、これからも維持管理費がどんどんかかる。国民は物価高で1円でも安い買い物をする中、誰が防衛増税に納得するのか?トマホークについて聞く。その使い方の特徴をご存じか?
岸田 文雄(自由民主党)
他国でどのような使用をされているかは様々。わが国としては、スタンドオフ防衛能力(敵の射程圏外からの攻撃能力)の向上のためにトマホークを購入している
辻元 清美(立憲民主党)
トマホークは正確で隠密に行くが、速度が遅いのが難点。東京から那覇まで1時間45分もかかる。なので、一挙に大量に撃たないと打ち落とされる率が高い。大量に撃てる装備も持っていない日本で、これを買ってどうするのか?
浜田 靖一 防衛大臣(自由民主党)
使い方によって色々と工夫していくことになる。トマホークは抑止のために使うと決めている。その都度の状況に応じて対応することになるが、仮定の想定に対して今答えるのは不可能
辻元 清美(立憲民主党)
何のために買ったのか分からない。現実味があるとすれば、存立危機事態での敵基地攻撃。それをアメリカと一緒にやるというならば分かる。台湾有事の際、アメリカから「存立危機だ。さあ一緒に撃ちに行こう」と言われたら、どうするのか?
岸田 文雄(自由民主党)
アメリカの要請があれば武力攻撃をする、といったものではない。わが国の国民の命や自由、幸福追求権が根底から覆される明白な危険がない限り、存立危機認定はあり得ない
辻元 清美(立憲民主党)
アメリカは台湾有事を想定してシミュレーションをしている。25%は撃ち落とされると数字も出し、トマホーク攻撃を相当重視した作戦を立てている。アメリカに「400発持っているだろう、さあ一緒に撃ちに行こう」と言われたら、撃たないのか?
岸田 文雄(自由民主党)
他に適当な手段がなく必要最小限の実力行使にとどまる、という要件を満たしたならば、我が国として武力攻撃を行う。憲法をはじめとする様々なルールの中で、わが国は武力行使を厳正に行使する
辻元 清美(立憲民主党)
トマホークは飽和作戦として大量に撃つのが特徴。必要最小限で「ちょっとだけ撃つ」というのは、今まで実戦でも例が無い先に撃たなければやられる。「専守防衛を守れない」ということが、私ははっきりしたと思う。これで質問を終わる




映像ソース
参議院 予算委員会質疑(2023年3月1日)
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