国会における衆議院と参議院は、ともに日本の国政を担う重要な機関です。選挙によって選ばれた国民の代表者が国政の意思決定に関わることで、民主主義の発展に貢献しています。
今回は、国会を構成する「衆議院」と「参議院」の違いや存在意義について、要点をまとめてお届けします。
二院制からなる国会
衆議院は定数465名、任期4年の下院であり、参議院は定数248名、任期6年(3年ごとに半数が改選)の上院という位置づけになります。両院ともに国政の重要な決定や法案の審議・成立に関わりますが、後に述べる制度的な面から、衆議院が主導権を持って進めるケースが一般的です。
衆議院の特色
なお、衆議院には「議会の解散」が認められており、参議院では行使できない権利となります。解散が可能となる条件は4つで、①任期の満了、②内閣不信任決議案が可決した時(69条解散)、③内閣信任決議案を否決された時、④内閣が必要と認めたとき(7条解散)となります。
衆議院の優越
衆議院が参議院より優位に立つ制度として「衆議院の優越」があります。これは法案の審議や採決において衆議院が先行し、原則として衆議院で可決した法案が参議院でも可決されるというものです。
この制度のメリットとして、法案審議から成立までのプロセスがスムーズに進むことで参議院での審議期間が短く済み、迅速な政策決定が可能となります。
その一方、デメリットとしては参議院での議論が省略されるケースがあり、民意が十分に反映されない可能性もあります。民主主義や国民の意思が尊重される制度になるよう、政治家には本制度の適切な運用が求められます。
参議院の特色
なお、比例代表制とは各政党が獲得した投票数に応じて名簿の記載順に候補者を当選させる選挙制度で、小選挙区制を採用していない参議院においては死票(落選者に投じられた票)が最小限に抑えられ、新しい政党が生まれるチャンスも多くなります。
参議院に期待される役割
参議院は、衆議院よりも多様な視点を取り入れ、政府や与党を監視する重要な役割を担います。
衆議院で可決された法案の再審議を行う権限を持っており、その過程で審議内容の検討や修正案の提案を行っています。そのため、特に慎重な審議が求められる重要案件については、衆議院よりも参議院の役割が大きくなります。
また、参議院には衆議院に対して質問を行うことができる「質問主意書」の提出権があり、内閣は質問主意書を受け取った日から7日以内にそれについて答弁しなければなりません。これにより、政府や与党の行動に対して監視的な機能を担うほか、特別委員会を設置して国政の問題点を取り上げ、改善を求めることができます。
まとめ
国会は立法(法律を作ること)に加え、憲法改正や国際条約の批准など国政に関する議論や決定を行うことで行政・司法とともに三権分立の一翼を担っています。
衆参両院の各議員は所属政党の利害にとらわれず、国民全体の利益を優先して考え行動することを期待したいですね。